NISA(ニーサ)とは?仕組みとともにメリット・デメリットを解説
株式投資に興味はあるけれど、税金関係の手続きが面倒そう、そのような悩みを抱えている方はきっと多くいることでしょう。
成功すれば短期間で高収入を得ることも夢ではない株式投資の世界ですが、成功すればするほど、納めるべき税金も増えていきます。今まで一度も確定申告をやったことがない方からすると、確定申告の手続きは非常に面倒に感じられるものです。
特に、株を始めてまだ間もなく、まだ儲かってないという投資家の場合、なぜ大して稼いでいないのに税金についてあれこれ悩まないといけないのだろうと思うこともあるでしょう。
このように、株の税金に関する悩みを抱えている方にほど、NISAはオススメです。
今回はNISAの仕組みと、そのメリットやデメリットを紹介します。
少額投資非課税制度「NISA」とは?
そもそもNISA(ニーサ)とは一体何なのでしょうか?
NISAとは、2014年より始まった少額投資非課税制度のことです。
NISAには、投資によって得られた利益や配当金に対する税金が非課税になるという特徴があります。
本来、株の売却益や配当金に対しては、約20%の税金がかかるものです。しかし、NISAの口座で運用した利益に関して言えば、すべて非課税となりますので、利益をすべて自分の収入にすることができます。
NISAには非課税になる限度枠がある
NISAは個人投資家向けの税制優遇制度であり、非課税投資枠の範囲内であれば、株式のみならず、投資信託などの配当金や譲渡益に関しても非課税になります。
税金が非課税になるNISAですが、無制限に非課税になるというわけではありません。NISAには期限と上限額があるので、その点に注意しましょう。
2016年以降、NISAの非課税枠は100万円/年から120万円/年へと増額されました。(2018年7月18日時点)
そのため、2016年以降にNISA口座を開設した場合、5年間で最大600万円まで非課税となります。
NISAの仕組みとは?
NISAといっても、基本的な仕組みに関して言えば、他の株の口座とそれほど大きな違いはないです。一般口座や特定口座と同じような感覚で、株の売買をNISA口座ならば行えます。
NISAは一人一口座までで、非課税枠の対象となる金融商品とは、上場株式や株式投資信託、ETF、REITなどで、これらの配当金もしくは売却益にかかる税金が非課税となります。
非課税枠は毎年120万円までで、非課税期間は5年間までとなります。(2018年7月18日時点)
NISAのメリットは、投資による利益が出たとても、非課税枠の範囲内であれば税金が課されない点にあります。
しかし、NISA口座ならば、10万円の利益を課税されることなく、丸々受け取れる計算になります。
NISAの非課税投資枠の範囲内であれば、いくら利益が出ても非課税となります。そして、この非課税投資枠は、1年間ですべて使い切る必要はありません。
例えば、2018年よりNISAを始めた場合、最初の1年目は非課税枠が120万円までです。この非課税枠は、最大5年目まで、つまり2023年まで継続して使用できるということです。
期限と上限を超えない限り、株式投資で得た利益はすべて非課税となるため、普通に投資をするよりも利益率が高くなります。
NISAの対象者は?
NISAの対象者は次の2点を満たす人です。
- 日本に住んでいる
- 20歳以上の成人
ただし、平成28年より受付がスタートしたジュニアNISAの場合、対象者は日本に住んでいる0歳から19歳の未成年者となります。
NISAとジュニアNISAとで、対象年齢に違いがあるのです。ジュニアNISAの利用者が20歳になった場合、自動的にNISA口座に切り替わります。
NISA口座は原則として一人一口座までしか開設できません。そのため、一人で複数の口座は持てません。
NISAの種類は3種類!それぞれの特徴と違い
NISAは2014年の開始当初は一種類しかありませんでした。ただ、現在は一般NISAを含めて3種類のNISAがあります。
- 一般NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
一般NISAとつみたてNISA、そしてジュニアNISAには、対象年齢や年間投資枠、運用可能期間、非課税投資総額などにおいて違いがあります。
それぞれに一長一短がありますので、現在の自分や家族にとって最も相性の良いNISAを選びましょう。
例えば、小さいお子さんがいるご家庭の場合、ジュニアNISAがオススメとなります。
ジュニアNISAは未成年者を対象にしたNISAで、そのメリットは子供のうちから資産を作ることができる点です。
将来に備えて子供の教育資金を作りたいという方にほど、ジュニアNISAはメリットのある制度です。詳しくは次の記事をご覧ください。
ジュニアNISAに一般NISAには無い特徴があるように、つみたてNISAにも一般NISAには無い強みがあります。
つみたてNISAならば、一般NISAよりも非課税期間が長いため、配当金目的の長期投資に向いているなどのメリットがあります。NISAとつみたてNISAでどっちを選ぶか悩んだら、次の記事も参考にしてみてくださいね。
それぞれのNISAの利点を活かすことで、より多くのリターンを狙うことができるでしょう。
NISAのデメリット!損益通算・繰越控除ができない
株式投資で利益を得ても非課税になるNISAは、一見するとメリットばかりで、デメリットが無さそうに感じられます。
実際、今まで一度も株をやったことがないという初心者の場合、利益が非課税になるNISAはメリットばかりで、利用しておいて損がありません。
損益通算とは?
税金が非課税になるというメリットがあるNISAですが、その一方でNISAにはデメリットがあります。それは。損益通算ができないことです。
一定期間内における利益と損失を相殺することです。利益と損失を相殺することで、課税される税金の額を減らすことができます。
今年の株の運用成績が、利益100万円、損失50万円だった場合
100万円の利益と50万円の損失を相殺することで、所得を50万円まで下げることができます。
株の税金は約20%のため、所得が50万円ならば税金は10万円となりますね。
しかし利益と損失を相殺できずに利益だけに税金が課税されるとなると、税金が20万円まで上がってしまいます。
このように損益通算ができるのであれば、税金の額を下げることができるのですが、NISAではこの損益通算ができません。
NISA口座で損失、ほかの特定口座で利益が出た場合
証券会社Aの口座がNISAで、証券会社Bの口座が特定口座だとします。この時、NISAで100万円の損失が発生する一方で、Bの特定口座で100万円の利益が出ました。
この時もしAとBのどちらの口座も一般口座もしくは特定口座ならば、損益通算をすることで所得を0にすることができます。
しかし今回は証券会社Aの口座はNISAのため、損益通算ができません。
そのため証券会社Bの口座で発生した利益100万円に対して課税されることになるため、約20万円の税金を納めることになります。
このように、NISAには損益通算ができないというデメリットがあるため、NISAでは赤字になるようなリスクのある取引はしない方が良いでしょう。
NISAでは繰越控除ができない
NISAには他にも、繰越控除ができないというデメリットがあります。
損失を翌年以降に繰り越すことです。例えば、今年の損失が20万円で、利益が0円だった場合、20万円の損失を翌年に繰り越せます。その後、翌年の利益が20万円だった場合、繰り越した損失20万円と相殺することができます。
しかしNISAはそもそも利益が非課税となる制度のため、この繰越控除を利用することはできません。つまりNISAは赤字になればなるほど損をする仕組みとなります。
このように損益通算と繰越控除ができないNISAは、短期投資には不向きで長期投資との相性は良い口座となります。
NISAの仕組みをきちんと理解しておこう
NISA口座で株の取引をすると、利益が発生しても非課税となります。
NISA口座は年間120万円、最大600万円まで非課税となります。税金がかからないため、普通に投資をするよりも、得られる利益が大きくなります。
ただし、NISAは損益通算と繰越控除ができないため、損失が発生すると、デメリットが目立つようになります。
NISA口座は、損失が発生する可能性が高い短期売買よりも、確実にリターンが狙える長期投資の方が向いていることでしょう。
税金がかからないため、NISAで長期投資をすれば、通常よりも多めの配当金を稼ぐことができます。つまり、NISAは複利効果が働きやすく、通常よりも早く資産を形成できる制度ということです。
NISAを始めたいと思った人は「NISA口座を開設するには?金融機関の選び方や開設までの流れ」もあわせて参考にしてみてくださいね。