老後に必要な保険は?医療保険や介護保険の特徴と見直しの必要性
老後は仕事を退職して子どもは自立し、第二の人生が始まります。自分のための時間が増えて好きなことができますが、高齢になるとけがや病気のリスクが高まり不安になるでしょう。
もし自分が入院や介護状態になった時、家族に迷惑をかけてしまうのではないかという心配をなくすためにも保険について考えてみましょう。
老後に医療保障や介護保険、死亡保障は必要なのかそれぞれの保険の特徴とメリットやデメリットを覚えて将来の老後生活に備えましょう。
高齢者が対象となる公的医療制度は?
民間の保険に加入しなくても一部の医療費は公的医療制度でまかなえる場合があります。公的医療制度にはどんなものがあるのか確認して民間の保険に余計な保障をつけて保険料の負担を重くしないようにしましょう。
高齢者医療制度
70歳以上の高齢者が対象となる制度です。70歳から74歳までの一般所得・低所得者は医療費自己負担2割、75歳以上の一般所得・低所得者は医療費自己負担1割となっています。
70歳以上であっても現役並みの所得がある場合は医療費自己負担3割になります。
高齢者医療制度には前期高齢者医療制度と後期高齢者医療制度の2種類あります。
前期高齢者医療制度とは
この前期高齢者医療制度はわたしたちが暮らしている分では直接関わりあいがありません。
65歳から74歳までの人を対象とした制度です。この制度は市町村の国保と被用保険者の医療費の負担を調整するためにできた制度です。
前期高齢者加入率の平均より負担が少ない場合は「前期高齢者納付金」を支払基金へ納付し、負担が平均より多い場合は支払基金より「前期高齢者交付金」を交付します。
後期高齢者医療制度とは
75歳以上は後期高齢者医療制度の対象となります。保険証は新しく発行され、自己負担割合が1割に変わるので病院へ行く時には後期高齢者の保険証を持っていきましょう。
前年の1月〜12月の所得が対象になります。
老後の医療費や生活費はどれくらいかかるのか?
気になるのが老後にかかる医療費や生活費です。高齢者になると医療費以外に介護費用もかかるようになります。どのくらいかかるのか不安を感じるかと思いますが、高額療養費制度や介護保険制度というものがあります。
高額療養費制度
1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合に超えた分が還付される制度です。一定額は年齢と所得で決められています。
正式名称は「特別療養環境室料」といい、個室などを希望した場合に発生します。4人未満の少人数な部屋でも費用はかかります。73%と多くの人が個室または少人数の部屋を希望しています。
他にも病院へ通う交通費や食費なども対象外となります。入院や手術をすると自分だけではなく、家族も日用品を用意したり病院で行ったりと費用がかかります。
他にも老後に支払わなければならない費用は以下のようなものが考えられます。
- 食費
- 家賃
- 日用品
- 固定資産税
- 住民税
- ローン
- 車の維持費
こういった費用の支払いが不安な場合は、民間の保険に加入して補いましょう。
公的な介護保険制度
介護を要する人が生活補助や自立支援などの介護サービスを受けられるように支援する制度です。介護保険制度は40歳になった月から加入し介護保険料を支払う必要があります。第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳〜64歳までの人です。
第2号被保険者の場合:末期がん・関節リウマチなど16種類の特定疾病のいずれかに該当して要介護認定を受けた時
介護保険で対象となるサービスは全部で3つあります。
サービス | 内容 |
---|---|
居住サービス | 訪問介護・通所介護など |
施設サービス | 老人ホーム・介護療養型医療施設など |
地域密着型サービス | 定期巡回サービス・認知症ケアなど |
介護保険については次の記事で詳しく解説しています。
老後に備えて加入する民間の保険の種類と特徴
老後に加入すると考えられる保険は以下の3つです。
生命保険(死亡保険)
万が一被保険者が亡くなった場合や高度障害になった場合に、家族に資産を残す死亡保障です。葬式費用などに利用することができます。終身保険や収入保障保険、定期保険などがあります。年齢に関わらず、加入している人が多い基本的な保険です。
生命保険(死亡保険)は貯蓄を十分にしているのであれば、必要ないかとは思いますが生前に死亡保険金受取人を指定したり、税金対策として活用したりすることができます。
死亡保険は受取人が家族であれば金融機関の預金の相続などに比べると書類が少なく、手続きが簡単です。
民間の医療保険
入院や手術をした時に保険金が受け取れる医療保障です。特約を付加すれば先進医療や女性特有の病気などの保険金が上乗せされます。死亡する確率よりも入院や手術をする確率の方が多いので備えておくと安心です。
高齢になるほどけがや病気のリスクは高まるので、貯蓄があっても加入しておきたい保険です。医療費がどのくらいかかるのか不安というかたは検討してみてはいかがでしょうか?
民間の介護保険
亡くなった時の保障はありませんが、要介護1・要介護2に認定されると保険が受け取れる介護保障です。一時金で受け取れる形式と年金で受け取れる形式があります。自宅の階段などバリアフリーにする費用にも活用できます。
介護保険についても貯蓄があればそこまで必要ではない保険だという考えもできます。しかし、貯蓄をするのが苦手な人であればこういった保険を利用してコツコツと積み立てるのも良いでしょう。
高齢者が保険に加入するメリットとデメリット
高齢者が保険に加入するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 老後のお金に関する悩みがなくなり、精神的に落ち着く
- 家族に負担をかけない
- 節税対策になる
デメリット
- 貯蓄があればまかなえる
- 老後の収入が少ないと保険料が圧迫する
相続を考えている人は生命保険を検討しましょう。なぜなら相続税の節税効果があるからです。
生命保険の保険金は非課税となる額があり、その額は「500万円×法定相続人の数」で算出されます。
遺産をめぐって身内で争族があるかもしれません。あらかじめ保険金の受取人を指定することによって避けることができます。
老後の生活費に困らないために
終身払いの保険であればなくなるまで保険料を支払う必要があります。
もらえる年金額に不安を感じる人は「個人年金保険」に加入して収入を増やすことも一つの手です。
確定年金・有期年金・終身年金の3種類あり、それぞれ受け取り方が異なります。
個人年金保険の種類 | 概要 |
---|---|
確定年金 | 支給期間が決まっていて、生きている間はもちろん亡くなった時は遺族がもらえます。 |
有期年金 | 生きている間は一定期間もらうことができます。一定期間内に亡くなってしまい、保証期間があれば遺族に支給されます。 |
終身年金 | 亡くなるともらえませんが、生きている間は一生涯もらえることができます。 |
個人年金保険の支給開始は?
60歳から支給を開始するように設定するのが一般的です。60歳以降に設定することによって個人年金保険料控除が適用されます。若いうちに加入することによって無理なく保険料を払込、多く積立をすることができます。
個人年金保険に興味がある人は「個人年金保険の仕組みを解説!気になる年金額や保険料は?」の記事も参考にしてみてくださいね。
iDeCo(イデコ)も検討してみる
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている年金制度です。毎月一定額を積み立てて保険や投資信託で運用します。
税制優遇のメリットもあり、所得税や住民税の節税になります。もし掛金を払うことができなくなった場合は休止も可能で、払えるようになれば再開することもできます。
iDeCoの仕組みや始め方については「iDeCo(イデコ)完全ガイド!運用のポイントと注意点を徹底解説」でわかりやすく解説しています。
身体に対する保険の他にも老後に備えておいた方が良い個人年金もチェックして、充実した老後生活にしましょう。
老後に保険に加入するなら家族にも相談して慎重に決断を
それぞれのメリットやデメリット、保障内容の特徴を知り、自分のライフプランにあった老後のための保険を見つけてください。
日本人の平均寿命は伸びてきて少子高齢化となっています。年金の額はねんきん定期便で確認することができます。自分の将来の年金額を確認して保険料を支払える能力があるのかも把握しておきましょう。