土地信託なら自己資金0円でプロと土地活用が可能!流れや欠点も解説
土地信託は、次のような方にオススメの方法です。
- 自己資金なしで土地活用を始めたい
- 土地活用の知識がまったくない
- 土地活用に手間をかけたくない
- 広大な土地の活用を考えている
- 将来、売却が必要になるかもしれない
当記事では、土地信託の概要やおおまかな流れ、またメリット・デメリットをまとめました。土地信託について大方の知識が身につくようまとめましたので、土地の扱いに悩んでいる方は一度確認してみてくださいね。
土地信託とは、自己資金なしでプロの手を借りられる土地活用の方法
土地信託は、運用のプロに土地を運用してもらい、収益の一部を配当として受け取れる方法です。
次のような特徴があります。
分類 | 特徴 |
---|---|
信託する相手 | 信託会社(信託銀行など) |
土地の所有権 | 信託期間中、信託会社に移転 |
地主の収入 | 信託配当 |
信託期間 | 10年~30年が主流 |
土地信託には、信託期間後に土地を売却する「処分型」という方法もあります。これは開発による付加価値を上乗せすることで、より高値での売却が期待できるもの。
土地信託を選ぶ理由には「土地を手放したくない」「信託期間終了後も収益を得たい」といったものも多いため、賃貸型がよく選ばれています。
土地信託の流れは5ステップ!ほとんどを信託された会社が行います
土地信託の運用は信託会社が行うので、地主が運用のために行うことはほとんどありません。
土地信託は、次のような流れで進めます。
具体的にみていきましょう。
【土地信託の流れ:1】地主が信託会社を選ぶ
信託会社は、複数社を比較して「信用性」や「土地活用のノウハウ」において優位と判断できる企業を選びましょう。
土地信託には、専門の信託会社があります。主流は「みずほ信託銀行」「三菱UFJ信託銀行」などの信託銀行です。また金融機関以外にも、「楽天信託株式会社」「レオパレス信託株式会社」など金融庁から許可を得た信託会社もあります。
【土地信託の流れ:2】土地の所有権を移転登記し、信託受益権を得る
信託会社が決まったら、地主と信託会社で信託契約を締結。そして土地の所有権を信託会社に移転登記し、地主は「信託受益権」を得ます。
信託した土地の運用で得た収益から、配当を受けるられる権利のこと。
【土地信託の流れ:3】信託会社が土地の運用を始める
信託会社が土地の運用を始めると、地主がやることはほとんどありません。
土地の所有権が移ると、信託会社は活用方針を決めます。地主はこの方針に同意するだけ。異論があれば、運用を止めることもできます。
具体的な活用方法は、マンションや駐車場、商業施設といった賃貸経営が主流です。事業に必要な建築費などは信託会社が金融機関から借りて調達するため、地主が初期費用を準備する必要はありません。
信託期間は、10年~30年が主流。信託会社と地主の双方が同意すれば、延長も可能です。
【土地信託の流れ:4】運用結果に合わせて配当を得る
運用結果に合わせて、地主は信託会社から配当金を受け取ります。
配当は、事業収入から信託手数料、税金などの必要経費、借入金などを差し引いたものです。
【土地信託の流れ:5】信託期間終了後、土地や建物などが返還される
信託期間満了にともない契約が終了すると、土地や建物が地主へ返還されます。
そのため土地の所有権はもちろん、事業を営む権利も地主へ移行。地主は収益事業を手に入れられるのです。ただし、建物にローンが残っている場合は地主が引き続き返済することとなります。
土地信託をする4つのメリット!手間やお金がかからず、相続対策にも
土地信託は、自分で土地活用をするよりも手軽でリスクが少ないと言われています。
信託会社が土地の運用を行うため、地主の手間が少なく、素人の運用よりも事業リスクが減るからです。具体的なメリットは、次の通り。
それぞれ詳しくみていきましょう。
土地信託は自己資金0円OK!でも信託終了後のローン返済は地主負担
土地信託の費用は信託会社が金融機関から借り入れるため、地主が初期費用を準備しなくても大丈夫です。
そのため「自己資金がない」「広大な土地の活用をするために莫大な初期費用が必要」などの場合に有効です。
借り入れたローンは、信託期間中に事業収益から返済。
ただし信託期間終了後にローンが残る場合は、地主が残額を支払う必要があります。
信託期間中にローンが完済されているのが理想ですが、信託会社と地主の双方が同意すれば信託期間の延長も可能です。
土地信託は土地活用の素人でも安心!プロが立案・運用を行います
土地信託において、土地の運用方法は信託会社が立案します。また実際の運用を行うのも信託会社です(管理は専任業者へ委託する場合もあり)。
そのため地主に「土地活用を成功させる知識・経験」は必要なく、「管理する手間」もかかりません。
「土地活用をしたことがない」「土地活用をする時間がない」といった方にオススメです。
土地信託の信託受益権は売却可能!信託期間中でもお金に替えられる
信託受益権は、信託期間中の売却が可能です。
土地を「借地」として貸すと借地人に権利が発生し、地主は自由に売却できません。しかし信託受益権であれば、権利の状態で売買が可能です。
売却の手続きは、通常の土地の売却よりもシンプル。売却にかかる費用も安く済みます。ただし土地売却と同様、売却益に対して所得税がかかります(法人が売却する場合は、消費税も必要)。忘れずに確定申告をしましょう。
土地信託は相続対策に効果的!家族の負担を減らす為に選ばれることも
土地信託は、相続トラブル対策に効果的です。
信託期間中に相続が発生した場合、信託受益権が相続財産となります。信託受益権は相続の場合でも扱いがしやすいのです。具体的には、次のような理由があります。
- 信託受益権は孫まで相続人指定ができる
- 小さな子どもや高齢者の代わりに、信託会社が運用する
- 信託受益権の相続手続きは、土地よりも簡単
このため「土地の所有をめぐって家族が争う」「相続時に相続人に負担がかかる」といったトラブルは起きづらいのです。
土地信託はプロの運用といえど失敗の可能性も!他の資産形成も併用を
土地信託は「手間がかからない」「プロが運用してくれる」などいくつもメリットがあって地主にとって魅力的な方法です。
しかしデメリットもあり、場合によっては信託期間終了時に負債が残る可能性もあります。
土地信託には、次のようなデメリットがあります。
詳しくみていきましょう。
土地信託は収益が見込めなければ、信託会社に断られることがある
収益が見込める土地でなければ、信託会社に契約を断られることがあります。
土地信託では信託報酬や地主への配当のため、それなりの収益が必要。信託会社による契約可否の判断は厳しいですが、次のような土地であれば受理される可能性があります。
- 駅前や繁華街など立地のよい土地
- 広さがある土地
- 形状のよい土地
自分の土地が土地信託に向くかどうか判断が難しい場合は、信託会社に相談してみましょう。
余った土地の扱い方については、次の記事で詳しく掲載しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
土地信託では手数料がかかる!自分で運用するほうが稼げる場合も
土地信託では、手数料として信託報酬がかかります。
金額は収益の5%~20%程度で、地主と信託会社が契約時に相談をして決定。自分で運用するとかからない費用のため、土地信託をすべきかどうかを決める重要な判断材料となります。
土地信託の収益は保証されない!無収入でも生活できる資金の確保を
土地信託で得られる配当は、事業で得た賃料(利益)から信託会社への報酬、ローン返済、税金などの必要経費を差し引いたもの。
利益が残らない場合は、配当もありません。
たとえば、経営するマンションに修繕工事が必要になったとします。修繕工事の費用は経費のため、利益から差し引かれることに。「先月までもらっていた配当が、今月からほとんど無くなる」ということもあり得るのです。
土地信託が成功するか失敗するかは、信託会社や市況に左右される
土地信託は必ず成功するとは限りません。信託会社が失敗する可能性もあります。赤字の場合、信託会社が地主に追加投資を請求してくることも。
土地の運用を失敗すると、地主が損失を受けるかもしれないのです。
「ハイリスクな運用でないか」「信用できる信託会社かどうか」など、土地信託を始める前に十分な検討が必要。問題がないと判断した場合でも、市況により運用成績が大幅に下落する可能性があることは忘れないようにしましょう。
資産形成でお金を増やす方法は、別記事「老後資金の貯め方とは?お金を増やすための9つの運用方法を紹介」でも紹介しています。ぜひ読んでみてくださいね。
土地信託は不動産の素人にオススメの方法!ただし十分な吟味が必要
ただし「長期間に渡り土地を信託会社に任せる」「プロといえど運用リスクがある」といった特徴があるため、次のような方には向いていません。
・土地を使う予定がある
・他人に財産の運用を任せたくない
・多額のお金が動くのが怖い
・少しでも失敗したくない
土地信託を検討する際には、信託会社と活用方針の検討を十分に吟味しましょう。
土地信託に向かない土地は、ほかの活用方法でも失敗する可能性が。その場合は、売却の検討が必要かもしれません。
当サイトでは不動産売却の流れも詳しく掲載しています。また売却で失敗しないよう、注意点やよい不動産会社を選ぶための一括査定サイトも紹介。
大切な資産のため、土地信託を始める前に一度確認してみてくださいね。
土地信託は平成18年に信託法及び信託業法が改正され、土地の有効活用を図る手法として定着しました。
地方自治体が所有する土地を信託方式で活用し、再開発事業をおこなった事例などが見られます。また民間での土地信託の事例としては、有名な「六本木ヒルズ」が一例です。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。