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フラット35は団体信用生命保険付きが基本に!?その内容とは

フラット35は団体信用生命保険付きが基本に!?その内容とは

近年、住宅ローンを利用する際には団信への加入は必須となっていることがほとんどです。民間の金融期間では、団信の加入を前提として住宅ローン商品を取り扱っているわけです。

その中、フラット35は団体信用生命保険へ加入せずに利用できる住宅ローンとして有名でした。ただ、実はフラット35の住宅ローンも団体信用生命保険付きになっていることは知っていましたか?

フラット35が団信付き住宅ローンになって何が変わったのか、保障はどうなったのか、団信への加入は必須になってしまったのか、気になる内容についてチェックしていきましょう。

フラット35が変わった?団信付与が基本になったってホント?

フラット35は、団信への加入は任意としていました。つまり、通常フラット35を利用する際には、団信が付与されていなかったわけです。

ただ、フラット35でも団信に別途申し込みをすることで加入することはできました。特約料をプラスで支払うことで、団信を付与することができたわけです。

その金額は、3,000万円を35年ローンで借り入れた場合、およそ200万円程度となります、年率で0.35%程度となります。

しかし平成29年10月1日より、フラット35は団信付きの住宅ローンとなっています。フラット35を申し込んだ場合、自然と団信へも加入することになるのです。
フラット35が団信ありきになっていたなんて、知りませんでした。

団信の審査に落ちた場合は住宅ローンは利用できず、団信は必要ないと思った場合でも団信に加入しなければいけないのですね…。

いえ、フラット35は団信付きの住宅ローンになっていますが、団信不要で利用することも可能です。団信が必須ではないということは押さえておきましょう。

※そもそもフラット35が分からない!という方はコチラの記事へ

団信をつけなかったらどうなるの?

団信は、審査に通らなければ加入することができません。その際にチェックされるのが、健康状態です。団信に加入できなければ、その加入が前提となっている住宅ローンも利用することはできないわけです。

仮に健康上の理由で団信に加入できない、もしくは他の保険があるので団信は不要だと考えた場合は、団信に加入せずにフラット35に契約することができます。

フラット35は、金利にその保険料が上乗せされています。では、団信に加入しなかった場合、その上乗せされていた金利はどうなるのでしょうか。

フラット35で団信に加入しない場合、通常金利から-0.2%された金利で利用する事が可能となっています。

つまり、団信を付与せずにフラット35を利用すれば、通常よりもお得に住宅ローンを利用できるわけです。

ただ、団信に加入しない場合は他の保障について考えなければいけません。

ちなみに、フラット35における弾芯の引受先(保険会社)は地域よって異なり、審査基準も異なります。

団信の審査に落ちた、団信に加入しない、その場合の選択肢について気になる方は、この記事を参考にしてください。

フラット35の団体信用生命保険の金利はいくら?

フラット35の団体信用生命保険は、フラット35の金利に上乗せして保険料を支払うことになりました。

つまり、従来のフラット35よりも金利が高くなっているわけです。そこで、現在のフラット35の金利情報をチェックしておきましょう。

今回は、借入期間21年以上35年以下のケースについて見ていきます。

団信付きフラット35 以前のフラット35
融資率9割以下:年1.170%~年1.870%
 最も多いのは年1.170%
融資率9割以上:年1.430%~年2.130%年
 最も多いのは年1.430%
およそ年1.06~1.17%

以前のフラット35であれば、先ほど紹介した通り0.35%程度の特約料が発生していたことを考えると、団信付きフラット35がお得になっていると言えます。

フラット35が団信加入付きになってお得になったっていうことだね。
機構団信加入のフラット35がお得になったのは、その金額だけではありません。

保障内容もお得になっていますから、そちらについて次でご紹介していきましょう。

機構団信加入フラット35の保障内容をチェック

基本的に団信が付くことになったフラット35は、その保障内容も以前とは違うものになっています。

まずは、以前と何が違っているのかを見てみましょう。

団信名 以前のフラット35
機構団信保障内容
新しいフラット35
機構団信保障内容
機構団信 高度障害補償
死亡保障
身体障害補償
死亡保障
3大疾病付機構団信 3大疾病保障
高度障害補償
死亡保障
介護保障
3大疾病保障
身体障害補償
死亡保障

団信付きフラット35になったことで、今までは高度障害と死亡時しか保障されなかったものが死亡時と身体障害保障に変わったのです。

高度障害は、各障害について厳しいハードルをクリアする必要がありました。

しかし、現在は身体障害者福祉法1・2級についても保障範囲に含まれることになったのです。

つまり、保障の範囲が広がったわけですが、具体的にどの程度広がったのか、視力と肢体不自由の項目について比較していきましょう。

高度障害 身体障害者1級・2級
視覚障害 両目の視力を
全く永久に失ったもの
・矯正視力が両目とも0.02以下
・回復の見込みがない状態
1級
・両目の視力の和が0.01以下
2級
・両目の視力の和が
 0.02以上0.04以下
・両目の視野がそれぞれ10度以内
 かつ両目による視野について
 損失率が95%以上
肢体不自由 ①両上肢共手関節以上で失った
またはその用を全く永久に失った
②両下肢共足関節以上で失った
またはその用を全く永久に失った
③1上肢を手関節以上で失い
かつ、1下肢を足関節以上で失った
またはその用を永久に失った
④1上肢の用を全く永久に失い
かつ1下肢を足関節以上で失った
1級
・両上肢または両下肢の機能を
 全廃したもの
・両上肢を手関節以上で欠くもの
2級
・両上肢または両下肢の機能の
 著しい障害
・両上肢のすべての指を欠く
・一上肢を上腕2分の1以上で欠く
・一上肢の機能を全廃したもの
※高度障害には、視覚障害・肢体不自由以外にも「言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの」なども該当します。

肢体不自由の場合、完全にその運動機能を失い回復の見込みがない場合か、関節以上で失った場合しか高度障害には認定されません。

しかし、身体障害者2級の場合であれば上肢の全ての指の欠損や、機能の著しい障害(変形や麻痺にいよる高度の脱力など関節可動域が日常生活に支障をきたすとみなされる場合)でも保障対象としています。

このように、保障範囲が広がったのは利用者にとって嬉しいポイントですね。

高度障害よりも身体障害状態の方がハードルが低いのは分かりましたが、それでも簡単ではないのですね…。もう少し保障範囲が広いものはないのでしょうか。
フラット35の機構団信には、三大疾病保障を付けることも可能です。脳卒中やガンリスクに備えたい場合は、検討してみると良いでしょう。

フラット35の3大疾病保障は金利に+0.24%で利用可能

フラット35には、通常の団信に加えて+0.24%の金利負担をすることで3大疾病保障を付けることができます。

がん、急性心筋梗塞、脳卒中が原因で一定の要件に該当すれば、住宅ローンの返済が免除されて返済がゼロになるのです。

また、新制度になったことで介護保障も付与されました。

要介護2~要介護5までのいずれかに該当していると認定される、または180日以上要介護状態が継続したことが診断確定された場合は、ローン返済が免除されるのです。

三大疾病保障を特約として付ける場合、民間金融機関ではおよそ0.3%程度の金利が上乗せされることになります。

つまり、0.24%の金利負担で3大疾病保障と介護保障が受けられるので、フラット35はかなりお得になったと言えるでしょう。

三大疾病保障の必要性について気になる方には、こちらの記事がオススメです。

夫婦2人で加入できる団信デュエットとは

フラット35には、団信デュエットと呼ばれる夫婦連生団信制度があります。

夫婦どちらかに万が一のことがあった場合、残りの住宅ローン返済を免除してもらうことができるという制度です。

通常の団信では、契約者のみが保障対象となっているのが普通ですから、夫婦2人で申し込めるというのは大きな特徴ですね。

通常の機構団信付きフラット35の金利に+0.18%上乗せするだけで加入できます。ただ、三大疾病付の団信は利用できないので注意しておきましょう。

夫婦2人のどちらかに万が一のことがあった場合に免除されるローン返済額は、その持分だけなのでしょうか。
デュエットの場合、夫婦の住宅持分や返済割合に関わらず、残りのローン全額が返済不要となります。

ただ、夫婦どちらかが80歳になった場合、その方の保障は終了しますので注意しておきましょう。

デュエットも新機構団信と同様に、死亡時だけでなく身体障害状態になった場合も保証してくれます。夫婦で住宅ローンを返済することを検討している場合は、一度チェックしておきたいですね。

フラット35の機構団信と民間金融機関の団信はどちらがお得?

フラット35が団信つきの商品になり、身体障害状態になっても保障してくれるようになったことで民間の金融機関よりも保障範囲が広がったことは確かです。

無料で三大疾病や全疾病保障が付いている商品であれば別ですが、単純に死亡保障と高度障害保障だけをしている団信と比較すれば、保障内容ともにフラット35が有利だと言えるでしょう。

また、フラット35は夫婦で団信に加入できるデュエットという制度に加入することが可能です。夫婦それぞれが収入に応じてローンを組むペアローンや、夫婦合算収入で1本のローンを組む連帯債務の場合であれば、どちらか一方が死亡したとしてもローン残高がゼロにはなりません。

ペアローンの場合は、死亡した方のみのローン残高が免除されるだけで、もう1人のローン返済は残ります。連帯債務の場合も、団信は主債務者しか適用されないケースが多くなっていますので、主債務者でない方が死亡すればローンを支払い続けなければいけないのです。

ただ、民間金融機関は保険料不要で3大疾病保障や8大疾病保障が付く商品もありますし、金融機関の利用状況で金利優遇サービスを受けられるなどのメリットもあります。

たとえば住信SBIネット銀行の全疾病保障は、金利上乗せなしの実質無料で加入することができます。

それでも通常金利が高いというわけでもなく、手厚い保障を受けることが出来るという数少ないプランです。

細かい条件なども比較して、慎重に検討することが重要ですね。

※こちらの特集記事もご覧ください。

フラット35の団信は保障範囲が広がってお得に!

フラット35は今まで団信について任意での追加加入が前提となっていましたが、現在は団信が付いた商品となっています。

ただ、団信に加入できない、加入しないという場合は金利-0.2%で団信なしで契約することも可能です。

団信付きになったことで保険料が今までよりお得になっただけでなく、保障範囲も広がって魅力的なものになっています。

団信付きのフラット35。住宅ローンを検討している人は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?

※記載の情報は、2019年11月現在のものです。

監修者メッセージ

低金利(低価格)&保障範囲の拡大等の競争が激化し続けている傾向にある現在、フラット35だけでなく、業界全体に様々な変革がもたらされていることを感じます。

様々な情報を元に”自分にとって本当のベストは何か”ということについて、ブランド名や他者に流されることなく、しっかりと向き合うことがとても大切です。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。