医療保険とは?仕組みと種類を理解して自分にあった保険を選ぼう
医療はわたしたちの身近なものであり、病気やけがは突然おこります。そんな時に備えるために医療保険の種類やしくみについて詳しくなりましょう。
勧められてなんとなく保険に加入してしまった人や、自分の医療保険の契約内容を完璧には理解していないという人はぜひ一度見直ししてみて下さい。
医療保険につけることができる特約などのメリットやデメリット、特徴も把握して自分にあった良い医療保険を選ぶ準備をしましょう。
民間の医療保険は本当に必要?公的保障と合わせて考えよう
医療保険には公的な保険と民間の保険があります。まずは公的な医療保険から紹介していきましょう。
- 国民皆保険制度(健康保険・国民健康保険)
- 高額療養費制度
- 傷病手当金
- 子供の医療費助成制度
1.国民皆保険制度(健康保険・国民健康保険)
公的な医療保険である健康保険や国民健康保険を利用すれば、必要な治療費の自己負担額を一定までを抑えることができます。
ただし差額ベッド代や先進医療の治療を受けた場合には、保障の対象にはなりません。
2.高額療養費制度
高額療養費制度は医療費が上限を超えた時に超えた分が還付される制度です。上限はそれぞれの所得によって異なります。
高額療養費制度については次の記事で詳しく解説しています。
3.傷病手当金
傷病手当金は病気やケガで会社を休んだ時に受けられる制度です。
この制度を受けるためには複数の条件があり、ひとつ目は国民健康保険ではなく、会社員などが加入する健康保険であること。ふたつ目は仕事に就くことができず3日間の待機期間を含む4日以上就業することができない場合です。
給与をもらってないことも条件であり、給与同額ではないですが手当金が支給されます。
4.子供の医療費助成制度
子供の医療費助成制度は市区町村によって異なります。
対象となる年齢が何歳までなのか、助成範囲がどこまでなのか自分の住んでいる地域で確認してみましょう。とくに幼い子供の医療費は助成と貯蓄で足りることもあるので焦って医療保険に加入せずに慎重に検討しましょう。
公的医療保険があっても民間の医療保険に加入すべきか
このようにわたしたちの医療費・治療費は、国の制度で一定までの負担になるようおさえられています。ただし公的な医療保険では保障されない部分があるのも事実です。
特に子どもの保障については手厚く保障されていることが多いため、地域の助成を確認し、貯蓄に不安があれば早期加入を検討しても遅くありません。
保険は一度加入すると、解約や見直しがしにくいもの。必要性は人によって異なるので次の記事で、本当に自分や家族に必要かどうか考えてみてくださいね。
年齢別で考えたい人はこちらの記事がおすすめです。
医療保険と何が違う?生命保険やがん保険の特徴
生命保険やがん保険など「人に対する保障」に備える保険はいくつか存在します。医療保険も同じ「人の保障」ですが、主契約となる部分が異なります。
生命保険(死亡保険) | 死亡保障・高度障害保障 |
---|---|
がん保険 | がん(悪性新生物)保障 |
医療保険 | 入院保障・手術保障・通院保障 |
それぞれの主契約は上の表の部分を保障しています。
生命保険の特徴
生命保険は入院や手術をする時の保障はありませんが、万が一亡くなった場合・高度障害になった場合にまとまった死亡保険金が家族へ支払われます。
がん保険の特徴
がん保険は特に保障となる部分が絞られます。医療保険には死亡保障はないですが、疾病全般をカバーできるので「がん」にも対応しています。
がん保険は疾病の中でも「がん」しかカバーできない保険ですが、がんは一生涯において日本人の2人に1人が患うと言われています。
長期療養でお金がかかりますががん保険に加入することで高額な医療費や休業中の生活費を賄うことができ、金銭的に安定するので安心して治療に専念することができます。
医療保険の特徴
そして医療保険は特約をつけることで死亡保障やがんへの給付金を上乗せすることができ、生命保険は特約で医療保障に備えることができます。がんだけではなく、他の病気やケガにも備えたい人は医療保険へ加入することをおすすめします。
ただしどちらにしても公的医療制度もあるので過度な保障をつけないように注意しましょうね。
医療保険は1種類だけじゃない!種類によって異なる保障内容
医療保険の種類には主に次のようなものがあげられます。
特徴 | |
---|---|
一般的な医療保険 | 疾病・ケガ全般の入院や手術に対して保険金が受け取れる |
がん保険 | がんでの入院・治療に対して保険金が受け取れる |
三大疾病保険 | がん・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病に対して一時金が受け取れる |
女性向け医療保険 | 通常の医療保険に女性特有の疾病に備える特約がついたもの |
子供向け医療保険 | 教育資金を貯める保険とセットで加入することができ、個人賠償責任補償を付加できるものもある |
都道府県県民共済 | 保険料(掛金)が安いのが特徴であり、都道府県によって保障内容が異なる |
三大疾病保険やがん保険は保障の対象となる疾病が限られています。「女性向け医療保険」は通常の医療保険と保障内容は基本的に変わりませんが、乳がんや子宮頚がんなど女性特有の病気を重点的に保障します。
子ども向け医療保険として販売しているのは主に「共済」でコープ共済や全労済などです。
この共済では入院日額や通院日額、手術の共済金の上限が決まっています。
月々の掛金が安いのも特徴であり、オプションで掛け金を支払うと他人の物を壊した時などに利用できる個人賠償責任を保障してくれるものもあります。
保障内容には含まれてる?確認しておきたい2つの入院
最近では医療技術の進歩により短期間で治療が終わることも多く、そのために日帰り入院も対象となる医療保険が増えてきています。ただし検査入院については保障の対象外となるケースが高いです。
加入する前に保険会社にこの点を確認しておきましょう。
医療保険の特約ってなに?種類と特徴を解説
医療保険のオプションには「特約」というものがあります。特約とは保険の主契約につけることのできるオプションです。
特約の種類 | 内容 |
---|---|
通院特約 | 入院前・退院後の通院に対して給付金が支払われる |
三大疾病特約 | がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中と診断され条件を満たした時一時金が支払われる |
がん特約 | がん(悪性新生物)と診断された時に給付金・一時金が支払われる |
先進医療特約 | 先進医療による治療を受けた時に技術料が給付金として支払われる |
女性疾病特約 | 女性特有の病気で入院した時に給付金が支払われる |
死亡・高度障害特約 | 亡くなった時、高度障害状態になった時に保険金が支払われる |
健康祝金特約 | 健康で保険を使わなかった時に祝い金が受け取れる |
災害割増特約 | 不慮の事故や特定の伝染病が原因で亡くなった・高度障害となった時に保険金が支払われる |
このような特約を医療保険につけることができます。特約をつけると保障が手厚くなりメリットもありますが、デメリットも存在します。
まずメリットとしてあげられるのがもらえる保険金を増やせることです。一方でデメリットは特約を付加することで保険料が高くなること。主契約で受け取ることのできる保険金に特約分の保険金が上乗せされます。
特約の中でも特に注目されるのが通院特約です。通院特約を付加したほうが良いケース、不要なケースは次の記事で詳しく解説しています。
自分に合った医療保険の選び方と見直しのポイント
医療保険を選ぶ時には入院給付日額や保険期間、どんな特約があるのか確認してみましょう。いろいろな保険会社を取り扱っている来店型の保険窓口で比較するなど、保険会社の窓口で試算をしてもらうのもおすすめです。
保障期間によって異なる定期型と終身型
最適な保険は家族構成や年齢によっても異なります。例えば定期型は更新に限りがあるので、ある程度年齢が高くなれば終身型にしておくと安心でしょう。
まずは次の表を確認してください。
保険期間 | 保険料 | |
---|---|---|
終身型医療保険 | 一生涯 | 一定 |
定期型医療保険 | 一定期間 | 更新時に上がる |
保険期間は終身型が一生涯続くことに対し、定期型は保障が備わっている期間が決まっていて、だいたい10年単位で設定します。
定期型は更新することができますが、年齢で保険料が決まるため更新の度に保険料が上がってしまう特徴があります。終身型は保険に最初に加入したときから保険料が変わりません。
入院日数に注意!給付金が受け取れる入院の日数とは
もう一つ大事なポイントが入院日数です。医療保険には支払限度日数が設けられています。1入院につき30日・60日・120日など決められているのです。
契約時の入院日数を超えた分については、医療保険の給付金の対象にはなりません。
高齢・重い病気になるほど入院は長期化してしまうので、入院日数はよく考えて選びたいところです。最適な入院日数の考え方は「医療保険の入院日数はどのくらい必要?入院の平均と支払限度日数」の記事でタイプ別に詳しく取り上げています。
いつ医療保険を見直そうか悩んでいる人はぜひ次の記事も読んで、見直しのタイミングをチェックしてくださいね。
医療保険の特徴を知って厳選しましょう
保障を手厚くすればするほど、保険料も高くなってしまいます。またがんや三大疾病の保障には特約も保険自体(主契約)も存在します。
医療保険は特約と保険の種類で保障範囲が変わってくるので、ぜひご自身やご家族にぴったりの保障内容を選んでくださいね。