任意加入で国民年金のもらえる額を増やそう!メリットや手続きを解説
国民年金の保険料を支払う義務があるのは、20歳~60歳未満の方。60歳以上になると、あとは老齢基礎年金の支給を待つばかりです。
国民年金は、過去に未納期間や免除申請をした期間があると老齢基礎年金を満額もらえません。
そこで今回は、国民年金に任意加入するメリットや加入する場合・やめる場合の手続きについて詳しく解説していきたいと思います。
国民年金ってどんな制度?任意加入する条件もあわせて紹介します
ところであなたは、国民年金についてどのくらい知っていますか?
社会人になったら全員が強制加入、ということはご存知かもしれませんが、いったい何歳まで加入しなければならないの?と考えたこともあるかもしれませんね。
ということで、まずは国民年金の制度について詳しく内容をみていきましょう。
20歳以上なら強制加入?国民年金ってどんな制度なのかを解説します
老後だけでなく、死亡時や障害状態となってしまった場合に年金を受け取れる制度、それが公的年金です。
年金は、年金保険料を払わなければ受け取れません。
日本では、20歳以上60歳未満の方で日本国内に住所がある人は全員「公的年金」に加入する義務があります。
国民年金のことを「知っているようで実はよくわかっていなかった!」という方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
近い将来に備えた「任意加入」の加入条件とは?
60歳以上の方には、国民年金の保険料を支払う義務はありません。
でも、あえて国民年金に加入できる制度があります。
それが「任意加入」です。
国民年金に任意加入するには、次の条件を満たす必要があります。
- 日本国内に住む60歳以上65歳未満の方(※1)(※2)
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 厚生年金保険に加入していない方
繰上げ支給とは、本来65歳からもらう予定の年金を60歳~65歳未満の間で早めに支給できるようにすることです。年金をもらい始めるには年金額を確定する必要があるため、任意加入で増額できません。
60歳未満で退職した場合はそこから国民年金に切り替えとなりますので、60歳以降の任意保険へ加入することは可能です
厚生年金の加入期間については、次の記事も参考にしてください。
国民年金の任意加入はメリットいっぱい!保険料控除や付加年金もあり
国民年金の支払い義務があるのは、20歳~60歳未満の方です。
義務がないにも関わらず、なぜ国民年金に任意加入するとよいのでしょうか?
それは、次のようなメリットがあるからです。
- 将来もらえる老齢基礎年金を最大満額まで増やせる
- 納付した保険料は社会保険料控除の対象となる
- 付加年金の保険料も併せて納付可
そもそも国民年金は、払った保険料に応じて将来もらえる年金額が決定します。
平成31年(令和元年)度の老齢基礎年金の満額支給額は、年額780,100円です。保険料の未納期間や免除期間があると、その月数分を減額されてしまいます。
任意加入して足りない分の保険料を(納付月数480月まで)納めることで、満額に近づけることができるのです。
また社会保険料控除の対象として、節税にも繋がります。お得な制度でもあるのです。
2年でもとが取れる?国民年金に任意加入するなら同時に付加年金も!
追加支払い分は支給開始から2年で元が取れるので、国民年金に加入している方には、ぜひとも加入をおすすめします!
せっかく将来の年金額を増やすために任意加入するのですから、付加年金もぜひ検討してみてくださいね。
国民年金に任意加入するための手続きとは?海外在住ならどうする?
ここでは、国民年金に任意加入する手続きについて紹介します。
- 日本に住む60歳以上65歳未満の方
- 海外在住の方
詳しくみていきましょう。
任意加入の手続方法:日本に住む60歳以上65歳未満の方の場合
日本に住む60歳以上65歳未満の方は、お住まいの市区町村の年金窓口で任意加入の手続きを行います。
加入日は、加入手続きを行った日です。納付月数が480月に到達すると支給額が満額となるため、その時点で任意加入は終了となります。
そのため満額支給を受けるには何月分の任意加入が必要なのか、事前に確認しておきましょう。
任意加入の手続方法:海外在住の方
現在海外に居住されている方やこれから海外に住むことが決まっている方は「日本国内で最後に住んでいた(住民票の登録があった)ところ」の市区町村の窓口または年金事務所が手続き先となります。
ちなみに年金は、納付期間や猶予期間、免除期間などを含め最低でも10年は資格期間がなければ、そもそも支給されません。
大学生は学生納付特例制度といって、学生の期間は保険料の猶予を申請できる制度がありますが、海外に留学する学生はこの制度の利用ができません
海外へ留学した際に手続きを忘れてしまって未納期間を作ってしまった、というケースもあるので注意してくださいね。
国民年金の任意加入は途中でやめることも可能!手続方法を紹介
国民年金に任意加入したけれど、加入は任意なので当然やめることも可能です。
そこで、次の2通りのケースにわけて任意加入をやめる場合の手続き方法を解説したいと思います。
- 日本に住む60歳以上65歳未満の方
- 海外在住の方
詳しくみていきましょう。
任意加入をやめる手続き:日本に住む60歳以上65歳未満の方
日本に住む60歳以上65歳未満の方で国民年金に任意加入したけれど、やめたいという場合。
任意加入をやめるには、任意加入喪失の届け出が必要です。
次の書類を持参して、お住まいの市区町村窓口まで届け出を行ってください。
- 基礎年金番号がわかる書類(年金手帳や基礎年金番号通知書など)
- マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカードや通知カード)
- 本人確認書類
- 委任状等(※代理の方が手続きする場合)
任意加入をやめる手続き:海外在住の方
海外在住の方で国民年金に任意加入されている場合でも、途中で任意加入をやめられます。
ただしこの場合の手続きも、日本国内で最後に住所があった場所の市区町村窓口で行わなければいけません。
また20歳以上60歳未満の方で海外から帰国した場合、任意加入ではなくなり強制加入となります。国民年金または厚生年金への加入手続きを行いましょう。
「一時帰国だからいいや」としてしまうと思いがけず未納期間を作ってしまうので、注意してください
国民年金への任意加入で「長生き」のリスクに備えよう!
そして海外に住んでいるために国民年金に加入していないという方は、将来もらえる老齢基礎年金が減額されます。
しかし近年では、平均寿命が延び長生きできる方も多くなった一方で、老後資金が足りなくなってしまうリスクも。
そうした長い老後を過ごすためには、やはり老齢基礎年金の金額もできるだけ満額支給に近づけたいものです。
そのためにも、国民年金の任意加入の制度をぜひ検討してみてくださいね。その際には同時に加入できる付加年金もおすすめですよ。
任意加入をして1ヶ月分の保険料16,410円(令和元年度)を納めると、増加する年金額は1,625円となり、約11年で元が取れる計算になります。
当面の保険料の負担は気になるところですが、長生きすることさえできれば元が取れるので、未納期間がある方は任意加入を検討してみてください。
日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。