老後に必要な資産
おひとりさまの老後、資金や住まいはどう準備する?

おひとりさまの老後、資金や住まいはどう準備する?

俺、一生独身かもしれません。最近は「おひとりさま」もいいかなって思うんです。
生涯未婚の人は増えていますし、今後はその割合がもっと多くなると予想されています。「気楽だから」「自由な生き方をしたいから」というポジティブな理由で、おひとりさまの老後を選択する人も多いんですよ。
そうなんですね!ところでマルピー、老後のお金はきちんと貯金してる?
・・・。
住む家はどうするんだ?賃貸だと一生家賃を払うことになる。家を買うなら、それなりに初期費用がかかるぞ。
うっ・・・すごい不安になってきた・・・。
では、おひとりさまの老後資金・老後の住まいについてお話ししましょう。自分の老後を具体的にイメージできれば、今すべきこと、考えるべきことがわかり、不安も和らぎますよ。

独身高齢者の平均貯蓄額から、おひとりさまに必要な貯金額を解説

実際、一人暮らしの高齢者にはどれくらいの貯蓄があるのでしょうか。

総務省の「平成26年全国消費実態調査」による、独身世帯の男女の貯蓄残高は次のとおりです。

独身高齢者の男女別貯蓄残高
年齢 男性 女性
60~69歳 1611万円 1622万円
70歳以上 1501万円 1432万円
(政府統計「平成26年全国消費実態調査」より抜粋)

60代の平均貯蓄額は約1600万円、70歳以上の場合は男性が約1500万円、女性が約1400万円と、若干差が開きました。

「老後資金は3000万円必要」ってよく聞くけど、実はそんなに必要ないってこと・・・?
オイラは「老後までに1憶円貯蓄すべき!」って聞いたんですが・・・。
いやいや、こうやって結果が出てるんだから、とりあえず定年退職までに1600万円貯めれば余裕っしょ!
皆さん落ち着いてください。

これは、あくまで「平均値」。極端に貯蓄の高い人・低い人がいるために、偏った数値になっている可能性も高いんです。

あ、たしかに。
それに、人によって収入やローンの借入状況、金銭感覚が違うため、必要な老後資金も異なりますよ。
でも平均額よりは多く貯蓄しておくべきじゃないですか?
そうですね。

将来はもらえる年金が減る可能性もあるので、平均額だけを目安にせず、自分のマネープランをしっかり考えましょう。

将来は老後資金の支給額が減る恐れもある

では次の章で、老後にもらえる年金(老齢年金)の支給額について説明します。

おひとりさまが老後にもらう年金はいくら?

老後は年金を生活費に充てて生活したいなぁ。もらえる年金ってどれくらいなんだろう?
マルピーさんは20代なので、正確な年金額はまだわかりません。支給額は今後減るとも言われているので、年金収入に頼る生活はオススメできませんよ。

原則65歳から、国民年金の被保険者には「老齢基礎年金」、厚生年金の被保険者には「老齢厚生年金」が支給されます。それぞれの年金額について見てみましょう。

  1. 老齢基礎年金の支給額
  2. 老齢厚生年金の支給額

【1】老齢基礎年金の支給額は『保険料を納めた期間』で決まる

老齢基礎年金の支給額は、満額で779,300円(平成30年度)。

保険料の免除制度を利用していない場合は、保険料の納付月数に応じて次のように計算されます。

免除期間がない場合の計算式
老齢基礎年金額=779,300円×保険料納付月数÷480

免除期間がある場合の、老齢基礎年金の計算式は次のとおりです。

免除期間がある場合の計算式
老齢基礎年金額=779,300円×(次の5つの金額の合計)÷480

・保険料納付月数
・保険料全額免除月数
・保険料4分の1免除月数×8分の5
・保険料半額納付月数×8分の6
・保険料4分の3納付月数×8分の7

※平成21年3月分までの全額免除は「6分の2」、4分の1納付は「6分の3」、半額納付は6分の4、4分の3納付は「6分の5」で計算

国民年金の支給額(平成30年度)

自分の将来のために、保険料はしっかり納めないといけませんね!
そもそも保険料の納付は、国民の義務ですからね。
経済的に余裕がなく免除制度・猶予制度を利用した場合でも、期限内に追納(後払い)することで年金額を補えます。

国民年金の支給額が減額・増額する仕組みについては、次の記事を参考にしてください。

【2】老齢厚生年金の支給額には『所得』が大きく影響する

厚生労働省年金局が調査した、平成28年度の老齢厚生年金の平均月額は次のとおり。男女別に紹介します。

【年齢別】老齢厚生年金の平均月額(男性)
年齢 平均年金月額
60歳 121,853円
61歳 120,670円
62歳 92,332円
63歳 100,742円
64歳 103,399円
65歳以上 176,655円
※老齢基礎年金の支給額を含む
【年齢別】老齢厚生年金の平均月額(女性)
年齢 平均年金月額
60歳 53,381円
61歳 53,326円
62歳 49,449円
63歳 51,952円
64歳 97,761円
65歳以上 108,964円
※老齢基礎年金の支給額を含む
女性は男性に比べて、もらえる年金がかなり少ないんですね。
老齢厚生年金の支給額は「所得」が多いほうが高額。そのため女性のほうが、低額になってしまう傾向にあるんです。
そうなんですね。女性のおひとりさまの老後は、男性に比べて金銭的に厳しいのかしら・・・。
そうとは限りませんよ。
たとえば結婚して配偶者の扶養に入った場合より、厚生年金に入って働き続けるほうが年金額は多くなります。この平均額は「独身女性のみ」のデータではないので、悲観する必要はありません。
ちなみに老齢厚生年金の支給額は計算方法が複雑です。想定される年金の支給額は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に記載されているので、見てみるといいでしょう。

おひとりさまにオススメ!老後資金を貯蓄する10の方法

生涯独身ってことは、老後資金を一人で準備しなきゃいけないのか。いまの俺の給料で、十分な貯蓄ができるのかな・・・?
独身だとお金を自由に使える分、自分に甘くなって貯金できないんじゃないか?
マルピーは浪費癖があるから、一人じゃムリだと思うわ。
お、俺だって本気になればできるよ!先生、老後資金を上手に準備できる方法教えてください!
わかりました。老後資金を効率よく貯めるには、次のような貯蓄・資産運用がオススメです。
老後資金を貯める・増やす方法
方法 内容
定期預金 「預入期間中は払い戻しをしない」という契約内容で預金する
個人年金 民間保険会社の年金保険に任意加入し、年金を積み立てる
投資信託 専門家(ファンドマネージャー)に投資を任せ、利益を還元してもらう
株式投資 株主として株を購入し、配当金などの利益を得る
ETF投資 ・「上場投資信託」のこと
・証券取引所で売買できる
iDeCo 原則60歳まで掛金を積み立て、運用する
つみたてNISA ・「少額投資非課税制度」のこと
・一般NISAより年間の非課税枠が低く、非課税期間が長い
金投資 金を保有し、必要時に売ることで利益を得る
個人向け国債 国にお金を貸す(債権を購入する)ことで、国から定期的に利息を得る
不動産投資 利益取得のためにアパート・マンションなどを購入する
定期預金は、このなかでも気軽に始めやすいと思います。普通預金のように簡単にお金を引き出すことはできないので、お金にルーズなマルピーさんでもしっかり貯金できますよ。
なんかひどい言われようだけど・・・そのほうが確実に貯金できそうだなぁ。普通預金のお金、定期預金にまわしておこうっと。

リタイアまでに老後資金を貯めようと思っても、必要額は予測できません。そのため老後も定期的に収入を得られるよう、個人年金などでお金を積み立てておくのもオススメです。

当サイトのカテゴリー「老後資金の貯め方とは?お金を増やすための9つの運用方法を紹介」では、このような貯蓄方法のメリット・デメリットや、活用のポイントをお伝えしています。

おひとりさまの老後、住まいは賃貸・持ち家どちらにすべき?

マルピー、老後はどんな家に住むんだ?
そうだな~・・・都心の高層マンションで優雅に暮らすのもいいし、田舎の一戸建てでのんびり生活するのもいいなぁ。
(楽しそう・・・。ちょっと羨ましいわ。)

ところで老後に一人暮らしするなら、「賃貸」と「持ち家」どっちがいいんですか?

どちらが適しているかは、人によって異なります。自分のライフスタイルなどに合わせて選ぶのがオススメですよ。

老後の住まいを「賃貸」にした場合の、メリット・デメリットは次のとおりです。

老後の住まいを「賃貸」にするメリット・デメリット
メリット ・初期費用が比較的安い
・手軽に転居できる
デメリット ・家賃を払い続けなければならない
・高齢だと入居審査に落ちやすい
・リフォームできない場合が多い
・更新料や引越し費用がかかる

賃貸のメリットは「手軽さ」です。持ち家ほど初期費用はかかりませんし、隣人トラブルなどの際も気軽に転居できます。

ただし賃貸を「終の棲家(ついのすみか)」にする場合は、生きている限り家賃を払い続けなければなりません。

また高齢になると、収入面から家賃の滞納が心配されたり、認知症・孤独死のリスクが高まったりします。そのため入居審査に落ちやすいのもデメリットです。

バリアフリー仕様にするなどのリフォームはできない場合が多いので、老後生活に向いている物件を探す必要があります。

では「持ち家」の場合はどうでしょうか。

老後の住まいを「持ち家」にするメリット・デメリット
メリット ・資産として残せる
・家賃を払い続ける必要がない
・自由にリフォームできる
デメリット ・初期費用が比較的高い
・転居する際は売却または運用する必要がある
・修繕費がかかる

老後の住まいとして持ち家を購入した場合、自分の好きなようにリフォームできます。老後にはバリアフリー仕様にすることも可能です。

また資産として残せるため、物件によっては「不動産売却」で利益を得やすいのもメリットです。

賃貸の場合は住んでいる限り家賃を払わなければなりませんが、マイホームなら支払い(住宅ローンの返済)が終われば金銭的負担も軽くなります。

ただしマイホーム購入は「人生の三大支出」の1つと言われるほど、大きな買い物。それなりの資金準備が必要です。

また住む期間が長いほど老朽化していくので、高額な修繕費がかかる恐れもあります。

当サイトのカテゴリー「住宅ローンとは?損をしない借り方から返し方までご紹介」では、住宅ローンの基礎知識や借り方のポイントを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

具体的な老後生活を想定して、目標額を考えよう

50歳時点で未婚(おひとりさま)の人の割合は、20年ほどのあいだに急増しています。

おひとりさまの老後資金として必要な額は、人それぞれ。

「どこで、どんな生活をしたいか」「どんな家に住みたいか」など理想の老後生活を具体的に思い描くと、目標額を明確にすることが可能です。

将来は年金額が減る、長生きリスクによって老後破産の可能性が高まるなどの恐れがあります。この記事で紹介した「貯蓄の平均額」より多めに準備しておくと安心です。

一人で老後資金を準備する場合は、定期預金などお金を引き出しにくい方法がオススメ。当サイトでは効率よく貯蓄する方法を紹介しているので、自分に合った方法で始めてみてくださいね。

※記載の情報は2018年12月現在のものです。