マンション売却
マンションを貸したいなら売却も検討すべき!メリット・デメリット解説

マンションを貸したいなら売却も検討すべき!メリット・デメリット解説

「遠方への転勤が決まった」「離婚したのでマンションを手放したい」など、マンションを貸したいと思うきっかけはさまざま。

また「マンションを貸したいけど、何をすればいいの?」「なかなか売れないから、賃貸にしてみようかな・・・。」など悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

マンションを貸すと、賃料などの不労所得を定期的に得ることができます。

しかし「トラブルに対応するのが大変」「空室になっているあいだは収入がなく、赤字になるので損」といったデメリットも。自分の労力や収支のバランスを予測し、慎重に検討しましょう。

この記事ではマンションを貸したい人向けに、マンションを貸す流れやメリット・デメリット、かかる費用について解説します。

マンション賃貸の基本的な流れを見てみよう

マンションを貸したいと思っています。具体的に、どのような手順で行うんでしょうか?
マンションを貸してから解約までの、基本的な流れを見てみましょう。
マンションを貸す際の基本的な流れ
  1. 賃料の相場(目安)を調べる
  2. 賃貸にかかる費用を調べる
  3. 賃料の査定を依頼する
  4. 不動産会社に依頼・契約する
  5. 貸出前の準備をする
  6. 賃貸条件を決定する
  7. 入居者を募集する
  8. 入居申込者の審査を行う
  9. 賃貸借契約を結ぶ
  10. 入居中の対応を行う
  11. 解約・清算手続きを行う

マンションの家賃相場は、HOME’S(ホームズ)やSUUMO(スーモ)などのポータルサイトなどで調べることが可能です。

賃貸にかかる費用については、のちほど「マンションを貸したいなら、かかる費用も確認しておくべき!」で詳しく説明します。

家賃相場の目安(収入)とかかる費用の目安(支出)がわかり、収支のバランスに問題なければ、不動産会社に賃料の査定を依頼します。

査定は複数の会社に依頼するのがオススメ。より査定額・対応などが適切な会社を選ぶことができます。

そして貸出前の準備や賃貸条件の決定から入居者との賃貸契約まで行っていきます。入居者が退去する際には、解約・清算手続きも必要です。

マンションを貸すメリット・デメリット!絶対に得とは限らない

マンションをどのような流れで貸すのかは、だいたいイメージがつきました。手間や費用がかかりそうなので、貸すべきかどうか悩むところです。
メリット・デメリットをよく理解したうえで、貸すかどうか検討しましょう。
マンションを貸す大きなメリットは、やはり不労所得を得られること。しかし入居者がいなければ収入はありませんし、管理費などの支払いが続き損をしてしまいます。

ではマンションを貸すメリット・デメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

  1. マンションを貸すメリット
  2. マンションを貸すデメリット

マンションを貸すメリットは、主に収入と節税効果!

マンションを貸すメリットは、主に次のとおり。

マンション賃貸のメリット
  • 不労所得が得られる
  • 分譲マンションは賃料が高め
  • 節税できる

入居者がいれば、貸主は家賃収入などを定期的に得ることが可能です。また分譲マンションを貸す場合、設備・管理の状況が賃貸マンションに比べ良好であることが多いため、賃料は高い傾向にあります。

なるほど。ところで3番目のメリットに「節税」とありますが、これはどういうことなんですか?
家賃収入は不動産所得として扱われます。そのため、次のようなお金は「不動産所得の経費」として計上することが可能です。
経費として計上できるお金
  • 固定資産税
  • 管理費
  • 修繕費
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 住宅ローン金利
これらを確定申告で経費計上すれば、節税効果を得られますよ。

マンションを貸すと不動産所得の経費として計上できる費用があり、節税効果を得られる

マンションを貸すデメリットは、かかる労力と費用

マンションを貸す場合、次のようなリスクが生じる可能性も。

マンション賃貸のデメリット
  • 入居者がいなければ収入が得られない
  • クレーム・トラブルに対応する必要がある
  • 二重ローンの場合、審査が通らない場合も

マンションが空室のあいだは収入が得られず、管理費などの出費だけが生じる状態になります。

貸出中は入居者からのクレーム・トラブルに対応する必要があるため、それなりの労力も必要です。

管理会社などに一時的な対応を依頼することがほとんどだと思いますが、所有者である自分が責任者である事実は変わりません。

ローン返済中のマンションを貸して、マイホーム購入のために別の住宅ローンを組もうと思ってるのですが・・・。
二重ローンの場合、マンションを貸すことが審査落ちの原因となる可能性もあります。
えっ、どうしてですか?
賃貸だと空室になることが考えられるため、収入・かかる費用などの面で審査に不利になるのです。

では次の章で、マンションを貸す際にかかる費用についても見ていきましょう。

マンションを貸したいなら、かかる費用も確認しておくべき!

マンションを貸すと収入・支出の両方が発生します。

そのため「賃料や管理費などの目安」と「かかるコスト」がどれくらいになるか調べ、損しないかどうか検討することが大切です。

たとえば、ローンの残高(残債)も考慮しなければなりません。ローンが残っている場合は、マンションを売却したお金でローンを返済する必要があります。

ローンを完済していないマンションを貸したいのであれば、融資を受けた金融機関へ必ず相談してくださいね。

マンションを貸した場合、かかる費用は主に次のとおり。金額は物件によって異なります。

マンション賃貸にかかる費用
費用 内容
管理委託費 不動産会社へ次の委託をする場合のみ必要
・入居者管理
・建物管理

<金額の相場>
家賃の5%程度/月

住替え先の住居費 (例)
・住替え先の賃料
・新たに家を購入する際にかかる費用
メンテナンス費用
修繕費用
(例)
・室内設備故障のメンテナンス費用
・入居者退去時の補修費用
・クリーニング費用
仲介手数料 不動産会社に依頼する場合のみ必要
その他 (例)
・損害保険料
・交通費
・通信費

仲介手数料の仕組みについては、次の記事で詳しく説明しているので読んでみてください。

また貸していなくても、所有しているだけで主に次のような費用が発生します。

マンション所有中にかかる主な費用
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 管理費
  • 修繕積立金

マンションの所有中にかかる費用

ずっと空室のままだったら、困りますね・・・。
はい。立地条件などから入居希望者が少ない場合は、赤字になってしまう可能性が高いです。

マンションを貸したい場合、売却も検討すべき理由

マンションを貸したいと思っていたけど、費用面などでデメリットが大きくなる場合があるんですね。
はい。そのためマンションは貸すだけでなく売ることも考えたほうがいいでしょう。

「マンションを貸したいけれど、最終的には売却したい」という方も要注意。

一度でも貸したマンションは、次のような理由で売却価格が安くなる傾向にあるのです。

マンションを貸してから売却するデメリット
  • マンションが古くなる(賃貸期間が長くなる)と価格が下がりやすい
  • 入居者がいる場合、自分の意思で自由に賃貸を止められない

マンションを長期間貸すなどして築年数が古くなった場合、売りに出す部屋の状況だけでなく、建物全体の劣化などの理由により売却価格が安くなってしまう恐れがあります。

また入居者が退去するまでは簡単に空室として売り出せなくなるというデメリットも。賃貸に出したことで売り時を逃し、長期間所有することになる可能性もあります。

なるほど。売却価格のことを考えたら、貸さずに売ったほうがいい場合もあるんですね。
そうなんです。それにマンションを売って手放せば、管理に費用や手間もかからなくなりますよ。

ただし入居者がいる場合には、投資用マンションとして購入されるケースも。立地・条件がいいマンションなら、賃貸に出すメリットも大きいです。

マンションを売る場合と貸す場合のメリット・デメリットは、次の記事でお伝えしています。

「マンション売却も検討したい」と思った方は別記事「不動産売却の流れを分かりやすく解説!」で、不動産売却の基本的な流れについても確認してみてください。

マンション売却の際には、一括査定サイトで査定依頼をするのもオススメ。複数の会社に無料で依頼できますよ。

一括査定サイトのメリット・デメリットや、各サイトの特徴比較については、別記事「おすすめな不動産一括査定サイトを厳選して紹介!」を読んでみてください。

「マンションが売れないから、賃貸なら入居者見つかるかも」って考えている場合も、安易にマンションを貸すのはリスクが高そうですね。
そうですね。まずはマンションが売れない原因を明確にして、値下げする・内覧時の対応を見直すなどの対処をするのも1つの手です。

マンションが売れない理由や対処法、すぐに処分する方法については、次の記事をご覧ください。

マンションを貸したいけど、また住みたい場合は『定期借家契約』

俺は転勤のあいだマンションを貸したいんだけど、数年後に戻ってきてまた住むことはできますか?
借主の権利は「借地借家法」という法律で強く守られているため、貸主の一存で可ってに賃貸を止めることはできません。その場合は定期借家契約の形でマンションを貸すのも1つの手です。

定期借家契約とは、物件を貸す期間(期限)が設けられる貸借制度のこと。

平成12年3月1日に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が施行されたことにより導入されました。

普通借家契約の場合は、原則借主の希望により契約更新ができます。貸主が契約更新を拒否するには、正当な理由が必要です。

しかし定期借家契約なら、貸主が理由なしに契約更新を拒否し、借主に退去を求めることが可能です。

マンションを貸した後に住みたいなら、定期借家契約

自分がそのマンションにまた住むタイミングが明確ならば、定期借家契約でも問題ありません。

しかし「長期間安定して住みたい」という借り手からすると、期限付きであることがマイナス要因になってしまうことも知っておきましょう。

マンションを貸したいなら、売却も一緒に検討してみよう

マンションを貸すと不労所得が得られ、節税効果もあります。そのため老後の収入源にするのも1つの手です。

しかし「空室の期間が長いといろいろな費用がかさんで損」「貸してから売却すると、思い通りの金額やタイミングで売れないことがある」など、リスクも生じます。

筆者としては、マンションを貸したいのであれば、まず売却も一緒に検討してみるのがオススメ。

たとえば住み替え予定なら、家賃相場・売却価格の目安などを比較して、マイホーム購入が現実的な方法を選択しましょう。不動産会社など、信頼できる専門家に相談するのもいいですね。

当サイトではマンション売却の注意点や、売却成功のコツなども紹介しています。そちらもぜひ参考にしてください。

監修者メッセージ

大切なのは「なぜ貸したいのか」をしっかり考えることです。

そうすれば、これからかかる手間や費用が見合うものなのか、売ってしまう決断をした方が良いのか、なども考えやすくなります。今日ではインターネットによる査定なども簡単に依頼できますので、積極的に利用してベストな道を見つけましょう。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。