お墓の悩みや疑問を解決!管理に必要な基礎知識と新しい供養のかたち
新しくお墓を建てる、初めてお墓を購入する、すでにお墓があるけどどうしたらいいかわからない、お墓の管理に困っているなど、お墓に関してお困りごとはありませんか?
さまざまなお墓の悩みについて、近くに聞ける人がいない方も多いかもしれません。この記事ではお墓の種類や必要な手順、かかる費用についてまとめてご紹介します。
さらに、少子高齢化にともなって浮上するお墓の問題点や、時代とともに代わりゆくお墓のあり方についても学びを深めていきましょう。
お墓はなぜ必要?お墓を建てるきっかけと「納骨」の考え方
お墓を建てるのはなぜ?お墓の存在意義
“お墓”とは、故人のご遺体やご遺骨を埋葬し、土盛りや墓標を立てて祀る場所のことを指します。
お墓は、故人を弔い供養を願うためだけにつくられる場所ではありません。お墓には、先祖とのつながりを感じ、今を生きる人の幸運を願う場所でもあります。遺族にとっては、亡くなった人の存在を感じられる場所として、故人との別れによる悲しみを慰める役割もあります。
お墓は、人と人が命をつなぐシンボルとして今を生きる人にとって心の支えになっているんですね。
お墓にまつわる用語の理解しよう
お墓に関する用語について言葉の認識を深めておくと、お墓選びの際に役立ちます。よく耳にする言葉の意味を改めて理解しておきましょう。
葬儀 | 死者を弔いお別れをする儀式のこと。一般的には、遺族や親戚などごく親しい人たちでおこなうお通夜と、友人や知人が参列する告別式に分かれます。 |
埋葬 | 故人のご遺骨やご遺体を、納骨堂やお墓に葬ること。土葬、火葬どちらの場合にも使われることがある。 |
墓地 | 墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域のこと。霊園と使い分ける場合は、一般的に寺院墓地を指す。 |
霊園 | 墓地のうち、寺院以外が運営する墓地のこと。大きく分けて民営霊園と公営霊園がある。 |
納骨 | 火葬後のご遺骨をお墓や納骨堂に納めること。納める儀式を仏教では納骨式という。 |
四十九日 | 命日から49日目におこなう法要のこと。仏教では、死後の49日目に来世への裁きがくだると考えられている。 |
忌明け | 遺族が故人の冥福を祈り、喪に服す期間が終わる日のこと。仏教では四十九日にあたる。 |
埋葬や納骨、墓地や霊園など、同じような意味を持ちながらも使い分けをするケースがあります。
「納骨する」とはどんなこと?納骨式は必ずしないといけないわけではない
火葬した遺骨をお墓に移すことを「納骨」といいます。
仏教においては、一般的に「納骨式」をおこない、僧侶を呼んでご遺族や近しい間柄の参列者とともにお墓へ遺骨を納めます。しかし、近年では宗派や宗旨を問わない霊園も多く、僧侶を呼ばずに近親者だけで納骨をおこなうケースもあります。
- 納骨式の日程を決める
- お寺や墓地、納骨堂へ納骨式の予約をする
- 埋葬許可証を取得する
- 参列者へ納骨式の案内をする
- 会食の手配をする
- 引き出物を用意する
納骨をするためには、必ず自治体による『埋葬許可証』の発行が必要です。許可なく遺骨を埋葬すると刑法の「死体遺棄罪」で問われる可能性があります。
納骨式は法律で定められた制度ではないため、いつおこなうか決まったルールはありません。
一般的には、四十九日や一周忌のタイミングに合わせておこなうことが多いです。また、納骨は法律で決められたルールではないからこそ、近年では次の記事で紹介するような「納骨をしない」選択肢を選ぶ人が増えています。
お墓を建てるのは大変なの?必要な手順や手続き、費用相場を知ろう
お墓を建てる手順
お墓を建てる一般的な流れは下記の通りです。
- 墓地に関する情報をあつめ比較検討する
- 予算や条件から墓地を決める
- 墓石をつくる石材店を選ぶ
- 墓石の種類やデザインを決定する
- お墓の建設工事をする
- お墓の引き渡し
墓地には、大きく分けて寺院墓地、公営霊園、民営霊園の3つがあります。
宗派・宗旨や立地、設備・サービスや予算など、それぞれに特徴が異なります。選んだ墓地や霊園によって、建てられるお墓の制限や、墓石にかけられる予算も見えてきます。
また、墓地や霊園によっては墓石をつくる石材店が指定されている場合もあります。石材店が指定されていない場合は、複数の石材店から見積もりをとってコストパフォーマンスのよい業者を選ぶとよいでしょう。
お墓の値段や費用の相場
お墓にかかる費用の相場は、おおよそ150万円〜300万円といわれています。
一般的なお墓の建設には、墓石代や永代使用料、管理費や法要料、墓石建設工事費など項目ごとに費用が発生します。交通アクセスや立地のよい墓地や、凝ったデザインの墓石を選ぶほど、費用は高くなる傾向にあります。
お墓を建てるうえで譲れない条件や優先順位をしっかりと決めたうえで、予算に合わせて各項目を組み合わせるようにしましょう。お墓の購入方法や必要な費用の相場についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
お墓の種類は時代とともに多様化!近年注目をあつめるお墓をご紹介
種類 | 説明 |
---|---|
一般墓 | 墓石を建てる伝統的なタイプのお墓。家単位で利用することが多く、先祖代々受け継がれることが多い。 |
合祀・共同墓地 | 複数の遺骨とともに眠るタイプのお墓。一般墓に比べて価格が安く、供養やお墓の管理を遺族に代わって寺院や霊園がおこなう。 |
納骨堂 | 建物の納骨スペースに遺骨を納めるタイプのお墓。基本的には継承者を前提とせず、価格も手頃であることが多い。 |
樹木葬 | 樹木を墓標にするタイプのお墓。自然葬の一つで、お墓の継承を前提とせず一般墓に比べて価格も安価な傾向にある。 |
散骨 | 遺骨を粉状にして海や山へ撒くタイプの供養方法。後に残る墓標はないが、もっとも自然に近い葬法としてされている。 |
手元供養 | 遺骨の一部をアクセサリーや小物に加工して、手元に置いておくタイプの供養方法。故人を身近に感じることができ、遺族の気持ちを慰めることにも貢献する。 |
多くの方がイメージを抱く、墓石を建てるタイプのお墓以外にも、故人を供養する方法は多数あります。
お墓のあり方は年々変化を遂げ、慣例にとらわれない新たなタイプのお墓が時代のニーズにマッチし始めています。
お墓にかけられる予算や、設置後の管理、後継者問題や故人の意向など、総合的に判断をしていく必要があります。数ある選択肢のなかからよく吟味をして、後悔をしないよう慎重に選んでいきましょう。
お墓の「問題」とは?継承者や管理の悩みを解決する新たな選択肢
お墓を引き継ぐ人がいない、管理や維持が大変
少し前までは、先祖代々お墓を引き継ぐことが当たり前な時代でした。しかしお墓の維持管理には経済的負担がかかることや、遠方に住んでいてお墓参りにいけない、子どもがいない、などの理由から、お墓の継承が「負担」になっているケースが多くあります。
とくに、お墓の管理がされず放棄されたままの「無縁墓」が増加し続け、撤去や処分が問題となることが増えています。
お墓を相続・継承するにはどのようなことを検討する必要があるのか、継承者としても事前に理解をしておくことが大切です。お墓の相続方法については、こちらの記事を参考にしてください。
「墓じまい」をして別の供養方法に移したい・改葬したい場合
お墓の管理が経済的に難しい、遠くに住んでいるので管理ができない、という悩みを抱えている方には「墓じまい」という選択肢があります。
墓じまいとは、お墓を撤去して別の方法で供養したり、お墓を移したりすることです。
元あるお墓から撤去したご遺骨は、管理や費用の負担が少ない永代供養の合祀墓や樹木葬、散骨など別の方法で供養をします。一度埋葬した遺骨を取り出すには、自治体による許可が必要となることがあります。
墓じまいではなく建て替えや改葬をする場合は手続きの流れが異なります。こちらの記事もあわせて参考にしてくださいね。
お墓のあり方も新しい時代へ!故人・ご遺族にぴったりなお墓選びを
お墓を選ぶ際は、故人やご遺族、ご親戚それぞれの意思を尊重し、あとからトラブルといったことが起きないよう慎重に選択をしましょう。
どの供養方法にもメリットとデメリットがあります。各特集の記事をぜひ参考にしていただき、賢く情報収集しながら多角的な視点で比較検討することが欠かせません。お墓選びは、多額のお金や手間暇がかかります。突然のことで焦らないよう、計画的に準備を進めてくださいね。