つみたてNISA(積立NISA)完全ガイド!メリットを活かす極意
少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」は、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類。20歳以上の人は「一般NISA」か「つみたてNISA」を選びます。
NISAを始めたい人がいちばん最初に悩む点。それが「一般NISA」か「つみたてNISA」、どちらを選ぶかでしょう。
NISAは当初「一般NISA」のみでしたが、2018年から積立型の「つみたてNISA」がスタートしました。
この記事では新しい制度の「つみたてNISA」をメインに、仕組みや利用メリット、一般NISAとの違いをわかりやすく解説していきます。
つみたてNISAはどんな制度?ポイントは積立投資
つみたてNISAは一般NISAと対象的な制度です。一般NISAよりも年間の非課税枠が低く、非課税期間は長いため、今後数年単位で時間をかけてじっくり投資をしたいという方向けのNISAです。
つみたてNISAで税制優遇を受けられる仕組み
投資の税金は利益に対して約20%、通常は資産運用をすれば、常に利益のうち約20%が税金として引かれます。しかしつみたてNISAを利用すると、この約20%の税金を納める必要がなくなり、運用益をすべて自分の利益にすることができるんです。
ただしつみたてNISAの非課税枠は年間で40万円、非課税期間は20年間までとなります。
つみたてNISAの非課税投資総額は最大で800万円
より多くの金額の税制優遇を受けたければ、一般NISAよりもつみたてNISAの方がオススメです。
なぜなら一般NISAは年間の非課税枠が120万円と高額である一方で、非課税期間が5年まで。非課税にできる総額は600万円となり、つみたてNISAよりも低くなります。
非課税にできる総額でみると、一般NISAよりつみたてNISAの方が大きいということなんですね。
つみたてNISAでの投資は100円から可能!年間の上限は40万円
つみたてNISAの最低投資金額は金融機関によって異なりますが、最低100円からはじめることが可能です。
できるだけ少額から始めたいという人は、各金融機関の最低積立金額を比較している次の記事をチェックしてくださいね。
一方でつみたてNISAの上限額は40万円。それ以上の金額を投資することもできますが、年間の非課税枠40万円を超えた金額は通常通り課税されます。
つみたてNISAと一般NISA違いは?それぞれのメリット・デメリット
一般NISAとつみたてNISAの違いは次のようになります。
NISAの種類 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
取引方法 | 自由 | 積立買付 |
ロールオーバー可・不可 | 可 | 不可 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間(ロールオーバーを利用すると最大10年間) | 20年間 |
制度の終了年 | 2023年まで | 2037年まで |
非課税枠の総額 | 600万円 | 800万円 |
投資対象 | 上場株式、公募株式投資信託、ETF、REIT、ETNなど | 条件を満たしている投資信託とETF |
引き出し | 自由 | 自由 |
注目するポイントは「非課税期間とロールオーバー」「非課税投資総額」「投資対象」です。
つみたてNISAと違って一般NISAは年間非課税枠が120万円と高いものの、非課税期間は5年間と短いです。しかし一般NISAはロールオーバーが可能なため、最大で10年まで延長できます。
そして非課税期間が長い分、つみたてNISAの方が非課税にできる総額が一般NISAよりも高いです。
ただしつみたてNISAには投資対象が一部の投資信託やETFに限られるという制約があります。一般NISAには投資対象の制限はありません。
自由に短期投資したいという人は一般NISA、コツコツと少額ずつ長期で投資をしたいという人にはつみたてNISAがオススメです。
つみたてNISAと併用可能!税制優遇制度のiDeCo(イデコ)とは?
一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんでしたが、税制優遇制度「iDeCo」と各NISAの併用は可能です。
iDeCoはNISAと違って運用益に対する税金だけでなく、所得税も節税できる効果を持っています。さらにiDeCoは60歳まで運用できるという強みがあるので、若いうちに始めればつみたてNISAよりも長く運用できるでしょう。
iDeCoの投資対象は投資信託などに加えて、定期預金などの元本確保商品があります。NISAとiDeCoの両方をうまく利用すれば、より高い節税効果が望めるでしょう。
つみたてNISAの始め方とは?手順と流れ
つみたてNISAはどのような手続きをすれば始められるのでしょうか?ここではつみたてNISAの始め方について簡単に解説します。
- 金融機関を決め、つみたてNISAの口座を開設する
- 積立金額や運用商品を決定する
- つみたて投資を開始
つみたてNISAを利用するためには銀行や証券会社といった金融機関でつみたてNISAの口座を開設する必要があります。
口座開設の手続きを待っているあいだ、どの運用商品に投資をするのかを検討しておくと良いでしょう。口座開設ができたらポートフォリオを作成し、積み立てる金額を設定します。
つみたてNISAの取引方法は積立買付のみ。そのため一旦運用商品を選び、入金設定をするだけで自動的に買付が行われます。
つみたてNISAの運用商品の選び方と注意点
つみたてNISAで運用できる商品は、金融庁が定めた条件を満たしている投資信託とETFに限定されています。
金融庁の掲げる条件とは?対象商品の特徴
金融庁は「運用商品の投資対象」「販売手数料」「信託報酬」「信託契約期間」「分配金」などで、その商品がつみたてNISAに適しているかどうかを判別しています。
簡潔に言ってしまえば手数料が安く、安定した運用が期待できる商品であること。つみたてNISAの運用商品は低コストで安定したリターンが見込める銘柄が選ばれているんです。
投資信託とETFの違い
ETFは証券取引所に上場している投資信託のこと。投資信託とETF、両者の違いは上場しているか否かです。
ETFは上場しているため、いつでもリアルタイムな価格で売買ができます。しかし、非上場の投資信託の場合、実際に買付ができるまでに時間がかかるためリアルタイムな売買はできません。
つみたてNISAの非課税枠には限りがあるので、購入を決める前に次の記事でETFのメリット・デメリットをチェックしてくださいね。
投資信託のインデックス型とアクティブ型を解説
投資信託はインデックス型(インデックスファンド)とアクティブ型(アクティブファンド)に分けることができます。
一方でアクティブファンドとはファンド独自の運営方針に基づき、平均以上のリターンを目指すファンドのこと。
インデックスファンドよりもハイリスクハイリターンな投資信託、それがアクティブファンドです。
つみたてNISAで運用商品を選ぶ5つのポイント
運用商品を選ぶ際には、次のポイントに注意を払いましょう。
- 目論見書
- 過去の運用実績
- 資産規模
- 流動性
- 手数料
それぞれのポイントについて詳細は次の記事で紹介しています。
投資信託を選ぶ際は過去の運用成績をしっかりチェックし、将来のリターンが期待できる商品を選びましょう。
つみたてNISAの運用のポイント
つみたてNISAは長期投資を前提にしている制度です。長期的に税制優遇をうけながら長きにわたって運用することで利益を狙います。
定期的に買付をすることで平均取得価格を下げるドル・コスト平均法を活用しながら、分配金を再投資にまわして複利効果を高めていきましょう。
つみたてNISAは商品も口座も解約できる
つみたてNISAで運用している商品は途中で解約できます。そのため保有中の商品が値下がりしているときに損切りすることも可能なんです。
加えてiDeCoと違って、つみたてNISAはいつでも資金を引き出せます。お金が必要になったときでもiDeCoでは特殊なケースを除き60歳まで引き出しができません。しかしNISAであれば自由に資産が移動できるのが大きなメリットでしょう。
ただし一度利用したNISAの非課税枠は再利用できないので注意してくださいね。解約でどんなことに気をつけたら良いかは次の記事で紹介しています。
つみたてNISAを利用して老後資金を貯蓄しよう
今回はつみたてNISAに関する特徴を全体的に解説しました。つみたてNISAは、一般NISAよりも非課税期間が長く、年間の非課税枠は小さいNISAです。
期間が長い分、非課税額の総額では一般NISAよりも高額です。ただし投資対象が金融庁の条件を満たせる投資信託やETFに限られるため、自由な投資はできません。
他にもロールオーバーができないなどの注意点があるので、一般NISAとつみたてNISAで悩んでいる場合はこれらの注意点に気を付けてください。
また、つみたてNISAの口座を開設できる金融機関は銀行・証券会社と複数あります。金融機関は途中で変更できますが、切り替えの手続きのことを考えるとできれば変更は避けたいところ。
金融機関選びで迷っている方は「つみたてNISAの口座を比較!開設はこの金融機関3社から選ぼう」の記事を参考にしてみてくださいね。
つみたてNISAを利用すれば、今後20年という長期にわたって運用益にかかる税金を非課税にできます。節税ができる分、より効率よく資産運用を行えるでしょう。